CO-STARの使い方は分かった。じゃあ明日の業務で、何から使えばいいのか。
この記事はその答えだ。フリーランスの実務で週に1回は発生する10シーンを選び、それぞれに「コピペして空欄を埋めるだけ」のCO-STAR発注書を用意した。
先に言っておくが、各シーンには私自身が過去にやらかした失敗メモを1行ずつ入れている。大事なのは綺麗なテンプレじゃなくて、「なぜこのCO-STARの埋め方なのか」という文脈の方だ。発注書の価値は、項目の並びじゃなく、書き手の現場感で決まる。
CO-STARの基本を知らない人は先にCO-STARフレームワーク完全ガイドを読んでから戻ってきてほしい。本記事は「使える前提で、どう使うか」に全振りしている。
3行まとめ
- フリーランス実務10シーン分のCO-STAR発注書テンプレを、1シーン=1失敗体験メモ付きでそのまま載せた
- Claude版とChatGPT版で出力傾向が違うシーンは、使い分けの指針も添えた
- コピーして「」の中身を書き換えるだけ。30秒で今日の仕事に使える
このテンプレ集の使い方:30秒で1枚仕上げる
発注書は眺めるためじゃなく、書くためにある。使い方は3ステップだ。
- 今日の業務に近いシーンを探す
- そのCO-STARブロックをまるごとコピーして、「」の中身を自分の状況に置き換える
- ClaudeかChatGPTに貼り付けて投げる
慣れてきたら、「」の部分を自分の定型情報(事業内容、主要クライアントの業種など)で埋めた”自分専用テンプレ”を1シーンずつ作っておくと、毎回ゼロから書かなくて済む。Notionやメモアプリに10枚並べておくイメージだ。
ちなみに見出し(# Context等)は英語のままにしておく方が認識精度が若干高い。本文は日本語でOK。この使い分けについてはハブ記事で解説している。
シーン1:クライアントへのメール返信(軽微な追加依頼)
フリーランスあるある失敗メモ:
「色味の調整くらいならサービスで」と言ってしまい、3ヶ月後に「文字サイズも微調整できる?」「あともう1ページだけ」と無限追加されて、気づいたら無償労働で20時間消えた。一度タダでやると、相手の基準値がそこにロックされる。
# Context
先月納品した「(案件内容:例 コーポレートサイト制作)」に対し、
クライアントから「(修正内容:例 TOPページのメインビジュアルの色味を
もう少し暖色寄りに調整)」の依頼がメールで来ている。
契約書上は納品後の追加修正は別途見積もりとなる範囲。
# Objective
追加費用が発生することを角を立てずに伝え、見積もり金額を提示する。
関係を壊さず、「やりますよ、でもタダじゃないですよ」を自然に伝える。
# Style
ビジネスメール。件名+本文。敬語だが堅すぎない。箇条書きで見積条件を
整理する。
# Tone
丁寧だが毅然。相手を責めず、でも「サービスでやる範囲ではない」と明確に
する。長期関係を続けたい相手への配慮を感じさせる。
# Audience
30代の中小企業Web担当者。IT知識は中程度。予算決裁権は上司にあり、
本人は説明責任を負う立場。
# Response
件名1行+本文300字以内。最後に「ご検討のうえ、ご返信ください」で締める。
Tip: ToneとAudienceがこのシーンの肝。「毅然」だけだと冷たくなる、「丁寧」だけだとナメられる。両方指定することで、AIがバランスの取れたトーンを出す。
シーン2:打ち合わせ議事録の要約
フリーランスあるある失敗メモ:
Zoom録画から自動文字起こしを投げて「要約して」とだけ指示した結果、「雑談」「宿題事項」「決定事項」が全部同列に並んだ議事録が返ってきた。クライアントに送る前に気づいて冷や汗をかいた。議事録は”何を拾うか”を先に指定しないと使えない。
# Context
「(案件名)」のクライアント定例ミーティングの文字起こしがある。
参加者は「(自分+クライアント側の役職2〜3名)」。
議事録は社内共有用で、次回までのタスク確認が主目的。
# Objective
文字起こしから「決定事項」「宿題事項(誰が何をいつまでに)」
「次回アジェンダ」の3カテゴリだけを抽出する。雑談と確認作業の
繰り返しは省く。
# Style
Markdown形式。見出し3つ(決定事項/宿題事項/次回アジェンダ)で
構造化。宿題事項は「担当者:タスク:期限」のテーブル形式。
# Tone
業務文書。感情や雑談は残さず、事実のみ。
# Audience
自分とクライアント(プロジェクトマネージャー)。後から読み返す前提。
# Response
Markdown 500字以内。テーブルを含む。冒頭にミーティング日時・参加者を
1行で明記。
Tip: このシーンはClaudeの方が安定する。ChatGPTは雑談と決定事項を混ぜやすい傾向がある(体感)。長い文字起こしからの構造化要約はClaudeに投げるのがおすすめだ。
シーン3:新規案件の企画書ドラフト作成
フリーランスあるある失敗メモ:
「予算感はざっくりで」と発注時に言われたので、AIに「企画書作って」とだけ投げたら、500万円規模の大プロジェクトみたいな企画書が返ってきた。クライアントのリアル予算は50万円。Contextで予算レンジを書き忘れると、AIは”平均的な案件”を想定して暴走する。
# Context
「(業種:例 都内の整体院)」から「(ざっくりした要望:例 既存サイトを
リニューアルし、予約導線を強化したい)」という相談が来ている。
予算は「(レンジ:例 30〜50万円)」、納期は「(期間:例 2ヶ月)」。
先方は「(IT理解度:例 HTMLは知らない、WordPressは聞いたことがある程度)」。
# Objective
先方がこの予算・期間内で実現可能な企画書を3案作る。A案=最小構成、
B案=推奨、C案=予算オーバーだが理想形、の3段構え。
# Style
ビジネス提案書。A案/B案/C案の比較表+各案の詳細説明。
# Tone
プロフェッショナル。でも専門用語は噛み砕く。「要するに◯◯です」という
翻訳を随所に挟む。
# Audience
整体院のオーナー(40代、IT苦手、でも事業には真剣)。
# Response
Markdownで3,000字以内。冒頭にサマリー、中盤に3案比較表、末尾に
「推奨はB案」の根拠。
Tip: 「3案構成」はフリーランス企画書の王道だ。Objectiveに「3案作る」と明記すると、AIが自動で比較軸を立ててくれる。これを省略すると1案だけ返ってきて、クライアントに選択肢を提示できない。
シーン4:SNS投稿文(X)
フリーランスあるある失敗メモ:
LANCEの告知投稿で「フリーランス必見!AI家計簿アプリ登場🔥」みたいな宣伝全開ポストを投げて、インプレッション200で終わった。Xユーザーは宣伝投稿を瞬時に見分けて飛ばす。ToneとAudienceで「共感」寄りに寄せないと、投稿は存在しないのと同じになる。
# Context
フリーランス向けAI家計簿アプリ「(プロダクト名)」の認知拡大のため、
X(旧Twitter)に投稿する。アカウントは「(アカウント属性:例 管理人キャラ
のフリーランス応援アカウント)」。フォロワー数は「(規模:例 数百人)」。
# Objective
「(訴求軸:例 確定申告の面倒さ)」に共感を得つつ、プロダクトの存在を
自然に知らせる。宣伝臭は最小限に。リプライや引用を誘発したい。
# Style
X通常投稿。短文で歯切れよく。ハッシュタグ2個以内。URLは末尾に1つ。
# Tone
「あるある」ネタの共感。ちょっと笑える。プロダクト名は文末にさらっと。
# Audience
フリーランス1〜3年目。確定申告を面倒だと思っている。「なんとかしたい」
けど行動に移せていない層。
# Response
投稿文1本。135字以内(X投稿の実質上限)。
Tip: Xの投稿は「135字以内」を必ずResponseに入れる。これを書かないと、AIは平気で200字超の投稿文を返す。ハッシュタグもStyleで個数指定しないと、5個くらい付いてくる。
シーン5:見積書の文面(補足説明欄)
フリーランスあるある失敗メモ:
金額だけ書いた見積もりを送ったら、「何にいくらかかるのか分からない」と突き返された。クライアントは金額の正当性を説明する材料が欲しい。見積書の補足文面は”単なる金額の羅列”を”納得できる発注書”に変える翻訳装置だ。
# Context
「(案件内容:例 LPデザイン+コーディング)」の見積もりを
「(金額:例 35万円)」で作成した。内訳は「(例 ヒアリング5万、
デザイン15万、コーディング15万)」。
# Objective
金額の正当性を感じてもらうための補足説明文を作る。
「なぜこの金額なのか」「他社と何が違うのか」を1段落ずつ。
# Style
見積書の補足欄。箇条書きではなく、短い段落2〜3本。
# Tone
プロフェッショナル。自信はあるが、上から目線にならない。
「丁寧に仕事をする人」の印象を残す。
# Audience
発注経験が少ないクライアント(例:中小企業の社長)。相場感が
分からず、金額の妥当性を判断したい。
# Response
400字以内の補足文。最後に「ご不明点は遠慮なくお聞きください」で締める。
Tip: 「なぜこの金額か」を説明できる見積書は、交渉の回数が減る。Objectiveに「正当性を感じてもらう」と明記することで、AIは”機能”の説明じゃなく”価値”の説明に寄せてくれる。
シーン6:ポートフォリオサイトの自己紹介文
フリーランスあるある失敗メモ:
「Webデザイナーとして5年、様々な業界のお客様と…」みたいな誰でも書ける自己紹介を載せていた時期があり、問い合わせはゼロだった。差別化は”経歴”じゃなくて”誰のどんな課題を解けるか”に書き換えた瞬間、月2件の問い合わせが来るようになった。
# Context
「(自分の職種:例 フリーランスWebデザイナー)」として「(年数)」活動中。
主な実績は「(3つ:例 飲食店サイト10件、ECサイト5件、医療系LP3件)」。
ポートフォリオサイトのAboutページに載せる自己紹介文を作りたい。
# Objective
「この人に頼みたい」と思わせる自己紹介を作る。経歴の羅列ではなく、
「誰のどんな課題を解けるか」を軸にする。
# Style
Aboutページの本文。見出し3つ(「こんな課題を解いています」「実績」
「仕事の進め方」)で構成。
# Tone
プロフェッショナルだが、人間味を感じる。「強がらない、でも卑下もしない」。
# Audience
潜在クライアント(主に中小企業の担当者)。他のフリーランスと比較検討
している段階。
# Response
Markdownで800字以内。見出しごとに200〜300字。最後にCTA(「まずは
30分の無料相談」等)を1行。
Tip: Objectiveの「経歴の羅列ではなく」という否定形指定が効く。AIは放っておくと経歴を時系列で書きがちなので、「違う軸」を明示する必要がある。
シーン7:クレーム対応メール
フリーランスあるある失敗メモ:
一度、納品物の不具合でクレームが来た時、焦って「大変申し訳ございません」を5回繰り返した謝罪メールを送ってしまい、「結局どうしてくれるの?」と余計に怒らせた。謝罪だけでは火は消えない。「原因」「対応」「再発防止」の3点セットがないと、クレーム対応は機能しない。
# Context
「(案件名)」で納品した成果物に「(不具合内容:例 スマホ表示が崩れる
問題)」が発生し、クライアントからクレームが来た。
こちらに明らかに責任があるケース。
# Objective
誠実に謝罪し、「原因」「対応(いつまでに何をするか)」「再発防止」の
3点を明確に伝える。関係修復を最優先。
# Style
ビジネスメール。件名+本文。敬語。3点を段落で分ける。
# Tone
真摯。言い訳なし。でも卑屈にはならず、プロとしての対応姿勢を示す。
# Audience
クレームを入れてきたクライアント(いま感情的になっている状態)。
# Response
件名1行+本文500字以内。最後に「改めてお電話でもご説明させてください」
を添える。
Tip: クレーム対応は「Tone」でAIの暴走を防ぐのが重要だ。「真摯、言い訳なし」と指定しないと、AIは無意識に言い訳じみた文章を混ぜてくる。Audienceに「感情的になっている状態」と書くのも効く。
シーン8:新規営業DM(LinkedIn等)
フリーランスあるある失敗メモ:
「お世話になります。フリーランスデザイナーの◯◯です。実績は以下の通りで…」という”営業臭全開”のDMを100通送って、返信ゼロだった。営業DMは”自分の売り込み”を書いた瞬間に読まれない。”相手のどんな課題を見抜いているか”を冒頭に置かないと、既読スルーされる。
# Context
LinkedInで見つけた「(業種:例 地方の老舗旅館)」の経営者に、
フリーランスとして「(提供サービス:例 宿泊予約サイトのUX改善)」を
提案する営業DMを送りたい。面識はない。
# Objective
返信率を最大化する冷えた見込み客向けDMを作る。自分の実績は最小限に、
相手の課題の仮説と、その解決ルートの提案を冒頭に置く。
# Style
LinkedIn DM。短く、読みやすく。箇条書きは1箇所だけ。
# Tone
押し付けがましくない。観察者の視点から「気になったので」と話しかける
トーン。
# Audience
地方旅館の経営者(50〜60代、ITは苦手)。毎日営業DMが大量に届く中、
読む気力が残っていない状態。
# Response
200字以内。冒頭1行で「相手の課題の仮説」を提示する構成。
最後は「ご興味があればご返信ください」で締める。
Tip: 営業DMの肝は「冒頭1行で相手の課題を当てる」こと。Styleで「箇条書きは1箇所だけ」と制限するのも効く。AIは箇条書きを乱発しがちで、それがDMの「読ませる流れ」を壊す。
シーン9:請求書の催促メール(未入金)
フリーランスあるある失敗メモ:
支払い期日を2週間過ぎても入金がなく、「ご入金のほどよろしくお願いいたします」だけの丁寧すぎる催促を送ったら、さらに1ヶ月スルーされた。催促は”丁寧すぎると軽く見られる”。期日と金額を具体的に書き、「いつまでに入金がなければどうするか」を明示することで、ようやく動いてくれた。
# Context
「(案件名)」の請求書(金額:「(金額)」、支払期日:「(日付)」)が
期日を「(経過日数:例 2週間)」過ぎても入金確認できていない。
先方とは初回取引だが、関係自体は悪くない。
# Objective
入金を促すメールを送る。丁寧だが、事務的な明確さを保つ。次のアクション
(再請求書発行、電話連絡等)も予告する。
# Style
ビジネスメール。件名+本文。敬語。金額と期日は必ず数字で明記。
# Tone
丁寧、ただし事務的に淡々と。感情を込めず、「手違いかもしれませんが
確認をお願いします」のスタンス。
# Audience
取引先の経理担当者または社長(入金を忘れているか、意図的に遅らせて
いるか不明の状態)。
# Response
件名1行+本文300字以内。本文内に「支払期日」「金額」「振込先(再掲)」
を必ず含める。最後に「◯月◯日までにご入金確認できない場合は、
改めてお電話させていただきます」で締める。
Tip: 催促メールは「感情を込めない」指定が重要。AIは放っておくと「お忙しいところ恐縮ですが」のような過剰な配慮を入れがちで、それが舐められる原因になる。Toneで事務的なトーンを明示すること。
シーン10:コードレビューの依頼
フリーランスあるある失敗メモ:
自分で書いたコードを「レビューして」とだけAIに投げたら、「ここ、もっと良くできますね」みたいなフワッとしたコメントが10個返ってきて、どれが優先なのか分からなかった。コードレビューは”観点”と”優先度”を指定しないと、ただの感想文になる。
# Context
「(言語:例 TypeScript)」で書いた「(機能:例 決済APIの呼び出し
モジュール)」のコードをレビューしてほしい。コード量は「(行数)」。
用途は本番環境での利用を想定。
# Objective
「セキュリティ」「エラーハンドリング」「可読性」「パフォーマンス」の
4観点でレビューし、**優先度順**に指摘事項を並べる。「Critical / High /
Medium / Low」の4段階で分類。
# Style
Markdownのチェックリスト形式。各指摘は「問題箇所(行番号)→改善案
→理由」の3要素で記述。
# Tone
プロフェッショナル。建設的だが、妥協しない。「動けばOK」は許さない。
# Audience
自分(フリーランスエンジニア、該当言語は中級レベル)。
# Response
全指摘事項を優先度順に並べた表+各指摘のコード例(Before/After)。
末尾に「総合評価」を1段落で。
# 対象コード
(ここにコードを貼る)
Tip: コードレビューは「観点」と「優先度」の指定が命。これがないとAIは感想文を返す。ClaudeとChatGPTで出力傾向が違い、Claudeは厳しめ、ChatGPTは優しめに出る傾向がある(体感)。本番コードならClaude、学習用コードならChatGPTが使いやすい。
ClaudeとChatGPT、使い分けの目安
10シーンを通じて、「このシーンはどっち?」と迷うことがあるかもしれない。ざっくりした指針を置いておく。
- Claude向き: 文字起こしの構造化要約、コードレビュー、長文の議事録整理、トーンの一貫性が重要なメール系
- ChatGPT向き: 短文SNS投稿、アイデアブレスト、カジュアルなトーンの営業文
ただしこれは2026年4月時点の体感で、アップデートで変わる。迷ったら両方に同じCO-STARを投げて、出力を見比べるのが一番早い。この使い分けの詳細は別記事で深掘り予定だ。
Claude特有のXMLタグ活用についてはClaude XMLタグ完全ガイドを併せて読むと、CO-STARとの組み合わせ技まで見えてくる。
まとめ:発注書は「書き慣れた側」が勝つ
CO-STARテンプレを10枚渡した。でも、ここから先は書き慣れるしかない。
最初は面倒に感じるはずだ。1枚書くのに3分かかるかもしれない。それでいい。3回書けば30秒で書けるようになる。フリーランスのヒアリングシートと同じだ。最初は時間がかかるが、書き慣れると聞き漏れがなくなり、仕事の質が上がる。
10シーン全部を覚える必要はない。今日の業務で近いシーンを1つ選び、まずはコピペして試してほしい。「」の中身を書き換えるだけの5分間が、AIとの仕事の景色を変える。
発注書を書く側に回れ。話はそれからだ。
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