プロンプトフレームワーク5つを比較|CO-STAR・RACE・RTF・CRISPE・ICIOの使い分け

木製のデスクに並べられた5つの書類フォルダのミニマルなインフォグラフィック風イラスト。それぞれのフォルダには異なるフレームワーク名のラベル(CO-STAR、RACE、RTF、CRISPE、ICIO)が貼られている。トップダウンのフラットレイ視点。CO-STARフォルダは他より少し大きく、上部に配置され、金色の星のシールが貼ってある。他の4つのフォルダは下に扇状に並ぶ。フリーランスの手がペンを持ってCO-STARフォルダに伸びている。温かみのあるクリーム色とくすんだブルーのカラーパレット、柔らかな自然光、控えめな紙の質感。フォルダの背には フレームワーク名以外の文字なし。クリーンでプロフェッショナル、少しレトロな文房具風の美学。16:9のアスペクト比。

フリーランスのGoogleドライブを開くと、見積書テンプレが3種類くらい並んでいる人が多い。法人向けの固いやつ、個人向けのラフなやつ、超短納期の確認用。案件が違えば書式も違う、当たり前の話だ。

プロンプトも同じだ。

ハブ記事ではCO-STARを推したが、CO-STAR1種類で全案件を殴るのは、全部の見積をA4横の提案書で出すのと同じくらい不器用だ。軽いSlack下書きに6要素フル装備は重いし、コードレビューに「Audience」を細かく書いても刺さらない。

この記事では、フリーランスが実務で使うプロンプトフレームワークを5つ並べて比べる。結論から書くと、文章系タスクが7割の人は CO-STAR をベースに置いて、案件の軽さに応じて他のフレームワークに持ち替えるのが最適解だ。

3行まとめ

  • プロンプトフレームワークは4系統:発注書型(CO-STAR)/役割型(RACE・RTF)/会話型(CRISPE)/タスク型(ICIO)
  • 文章系タスクが中心なら CO-STAR が最速、コード・分析中心なら RACE・RTF が軽くて速い
  • 1つ覚えるなら CO-STAR、そこから引き算するように他を学ぶと頭に入る
目次

プロンプトフレームワークを4系統で整理する

世の中のプロンプトフレームワークは名前こそバラバラだが、よく見ると系統が4つしかない。

フレームワーク要素数系統得意分野書く手間
CO-STAR6発注書型文章・企画・メール
RACE4役割型コード・分析
RTF3役割型単純タスク極低
CRISPE5会話型反復対話
ICIO4タスク型構造化出力

系統を覚えておくと、新しいフレームワークが出ても迷わない。「それってRACE系でしょ」「CO-STARから2つ引いたやつね」で片付く。流行り廃りで右往左往しないための地図だ。

要素数は多ければ精度が上がるが、書く手間も増える。トレードオフの勘所を、次から1つずつ見ていく。

5つのフレームワーク、それぞれの持ち場

1フレームワーク、1失敗談つきで並べる。頭の中に「これはこういう案件で使うやつ」というラベルを貼ってほしい。

1. CO-STAR(6要素|発注書型)

Context / Objective / Style / Tone / Audience / Response。CO-STARフレームワーク完全ガイドで詳しく書いたが、要は「まともな発注書に書いてあること」を6項目に並べたものだ。

向いてる案件: クライアント向けメール、ブログ構成、提案書、プレスリリース、SNS原稿。

失敗談: 以前、経理部長向けの税務解説記事を書かせたとき、Audienceを省略した。出てきたのは「新社会人向け」の内容。専門用語レベルが完全にズレていて、書き直しに30分。Audience1行を省いた代償が30分、高い節約だった。

一言: 迷ったらこれ。特に文章を書かせる案件は、ほぼ全部CO-STARで回る。

2. RACE(Role / Action / Context / Expect|4要素)

Role(誰として)、Action(何をする)、Context(背景)、Expect(期待する結果)。CO-STARから Style / Tone / Audience を削って、代わりに Role を頭に足したイメージだ。

向いてる案件: バグ修正、コードレビュー、データ分析、リファクタリング。要するに「文体を指定する必要がない」案件。

失敗談: 初めてGoのコードレビューを頼んだとき、Roleを省いて「このコードをレビューして」とだけ書いた。返ってきたのは「動きますね、いいと思います」系の小学生の感想文。「あなたは10年Goを書いてるシニアエンジニアです」と1行入れただけで、指摘の密度が3倍になった。

一言: Roleから入るのが気持ちいい人向け。人格を先に決めると、AIは自動で適切なトーンを選んでくれる。

3. RTF(Role / Task / Format|3要素)

役割、タスク、出力形式。たった3つ。30秒で書ける最小テンプレだ。

向いてる案件: Slackの下書き、議事録の1行要約、タスクの整理、メモの清書。

失敗談: Slackでプロジェクトの進捗報告文を作らせたとき、Format を省略した。出てきたのは3段落の長文。Slackに投げるやつなのに。「箇条書き3点、絵文字なし」と1行足しただけで、翌日から同じテンプレを毎日使っている。

一言: 30秒で書ける最小テンプレ。CO-STARがフルコースなら、RTFはコンビニおにぎり。「今はこれで十分」という場面は意外と多い。

4. CRISPE(Capacity / Role / Insight / Statement / Personality / Experiment|5要素)

Capacity(能力)、Role(役割)、Insight(文脈)、Statement(指示)、Personality(人格)、Experiment(別案も試す)。反復対話前提で設計されている、やや変わり種のフレームワーク。

向いてる案件: ブレスト、企画のたたき出し、キャラ付けしたAIパートナーとの継続対話、キャッチコピー量産。

失敗談: ブログ記事のタイトル案出しにCRISPEを使ったとき、Personality(人格)を「真面目な編集者」で固定したまま10案出させた。結果、10案とも似たような真面目テイストで、バリエーションがゼロ。CRISPEの肝は Experiment(別案)と Personality の組み合わせで幅を出すことなのに、人格を固定した瞬間に死んだ。Personality を振り幅として使わないなら、CRISPEを使う意味はない

一言: AIと長く対話する人向け。1発で終わる仕事には重すぎるが、ブレストには刺さる。

5. ICIO(Instruction / Context / Input / Output|4要素)

指示、背景、入力データ、出力形式。「入力 → 出力」の変換に特化した機械的フレームワーク。

向いてる案件: CSVの整形、データ変換、API的な構造化タスク、翻訳、要約。

失敗談: 顧客リストの整形をICIOで依頼したとき、Input と Context を混ぜて書いた。「以下の顧客リストを、こういう経緯で、こう整形してほしい」を全部 Context に詰め込んだら、AIがリスト本体を「背景説明の一部」と誤解して、半分しか処理しなかった。Input は Input 欄にだけ置く、当たり前だがICIOの肝はここだ。

一言: 「渡す」「返す」が明確な機械的タスク向け。文体にこだわる必要がない、淡々とした変換作業で光る。

フリーランスの実務別・フレームワーク選び方チャート

5つ並べられても「結局どれを使えばいいの」となるはずなので、迷ったときのショート版をまとめた。

  • 文章を書かせたい → CO-STAR
  • コードを書かせたい/読ませたい → RACE
  • 1行で済ませたい → RTF
  • 何度もやり取りしたい → CRISPE
  • 入力 → 出力の変換 → ICIO

フリーランスの1日を想像してみる。朝イチでクライアントメール返信(CO-STAR)、昼に議事録要約(RTF)、午後の開発作業中にコードレビュー(RACE)、夕方に来週の企画ブレスト(CRISPE)、夜にアンケート結果の整形(ICIO)。1日で5種類全部使う日がある。発注書の棚が広いほど、引き出しが速い。

なぜフリーランスには CO-STAR が”ベース”になるのか

5つ並べた上で、もう一度言い切る。フリーランスは CO-STAR をベースに置け。

理由は3つ。

1. 業務の7割が文章系だから

ライター、デザイナー、コンサル、マーケター、営業代行。フリーランスの大半は、納品物かコミュニケーションのどちらかで「文章」を書いている。文章系タスクに一番強いのが CO-STAR だ。ここを外すと、毎日の7割の作業が鈍る。

2. 他のフレームワークは CO-STAR の”引き算版”として理解できる

RTF は CO-STAR から Context / Objective / Audience を削って、Role を足したもの。ICIO は CO-STAR から Style / Tone / Audience を削って、Input / Output を明示したもの。CO-STAR を基準に覚えれば、他は差分で学べる。ゼロから5つ覚えるより10倍速い。

3. 軽い案件では”間引く”だけで済む

CO-STAR を書き慣れていれば、軽い案件では Style と Tone を省略するだけで RTF 相当になる。フレームワークを切り替えるのではなく、同じ発注書の記入欄を埋める量を調整する。頭の中のモードチェンジが少なくて済む。

ヒアリングシートを案件ごとに作り替えるフリーランスはいない。フル項目のシートを1枚持って、軽い案件では空欄を残すだけだ。プロンプトも同じ運用でいい。

Claude × CO-STAR、ChatGPT × どれ?

蛇足だが、AIとの相性も少しだけ。

Claude は XML タグとの親和性が高く、CO-STAR の各要素をタグで囲むと精度がさらに上がる(詳しくは Claudeプロンプト設計:XMLタグ編)。Tone と Audience の解釈も Claude のほうが一貫性がある。文章系は Claude + CO-STAR が現状のベストだ。

ChatGPT は RACE や RTF のような軽量フレームワークの相性が良い。特にコード生成は ChatGPT + RACE で十分速い。CRISPE の反復対話も ChatGPT の得意分野。

Gemini はどちらかというと ICIO のような構造化タスクで光る。長文の要約、データ整形、翻訳で安定する。

Claude で文章、ChatGPT でコード、Gemini で変換」、ざっくりこの住み分けで回している。

よくある質問(FAQ)

Q: 結局どれ1つだけ覚えればいい?

CO-STAR。 文章系で確実に効くし、他のフレームワークは CO-STAR の引き算で理解できる。最初の30分をCO-STARの習熟に投資するのが、いちばん回収率が高い。

Q: フレームワークを混ぜていい?

全然OK。 むしろ実務では混成が普通だ。CO-STAR に Role を足す(CO-STAR + RACE の Role)、RTF に Audience を足す、みたいな合成は毎日やっている。「純血」にこだわる必要はない。フレームワークは型であって法律じゃない。

Q: 新しいフレームワークが出たら追いかけるべき?

大半は既存の派生だ。 要素の名前が入れ替わっているだけで、中身は CO-STAR か RACE の親戚であることが多い。「系統は4つ」の地図を持っていれば、新しいのが出ても「あ、これ◯◯系ね」で片付く。

Q: フレームワークを使わずプロンプトを書くのはダメ?

ダメじゃないが、再現性が落ちる。 出来の良し悪しが「その日のコンディション」に依存するようになる。フレームワークは「自分のブレを減らす装置」だと思えばいい。毎回ゼロから書く料理人より、レシピを持っている料理人のほうが味が安定する。

まとめ ― 発注書の棚を広げろ。でも一番上は CO-STAR に置いておけ

プロンプトフレームワークは5つ、系統にすると4つ。

  • CO-STAR(発注書型/6要素)── 文章系の万能選手、迷ったらこれ
  • RACE(役割型/4要素)── コード・分析用の軽量版
  • RTF(役割型/3要素)── 30秒で書ける最小テンプレ
  • CRISPE(会話型/5要素)── 反復対話・ブレスト向き
  • ICIO(タスク型/4要素)── 入力→出力の機械的変換

全部覚える必要はない。まず CO-STAR を身体に入れて、そこから引き算するように他を学ぶ。これが最短ルートだ。

CO-STARの6要素をまだ詳しく知らない人はこちらで基礎を固めて、実務10シーンのテンプレ集で明日使える発注書を手に入れてほしい。

発注書の棚を広げろ。でも一番上は、CO-STAR に置いておけ。


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