ここでは全10回に渡って、生成AI「Claude」を使いこなすためのプロンプトエンジニアリングのコツを紹介しています。前回の第6回目は、「考える時間を与える」について解説してきました。
第7回目は「応答をプリフィルで制御する」というテクニックを中心に解説していきます。
Claudeの応答をプリフィルするとは?
Claudeを使う際、ユーザーがClaudeからの回答メッセージを事前に埋める(プリフィルする)ことで、Claudeの応答を導く独特の能力があります。この強力なテクニックを使えば、Claudeの行動を指示したり、出力フォーマットを制御したり、ロールプレイシナリオでClaudeをキャラクターに合わせたりすることができるんです。
プリフィルというのは、要するにClaudeに「こんな風に答えてね」とヒントを与えることです。Claudeは与えられたヒントを元に、そこから話を膨らませて応答を生成します。つまり、プリフィルによってClaudeの応答をある程度コントロールできるというわけですね。
プリフィルのメリット
では、プリフィルにはどんなメリットがあるのでしょうか。
まず、ステアラビリティ(操縦性)の向上が挙げられます。Claudeに続きを書いてもらうための初期テキストを提供することで、Claudeの応答を望ましい方向に導くことができるんです。これは、Claudeに特定のトピックに集中してほしい時や、特定のタイプのコンテンツを生成してほしい時、または特定の方法で行動してほしい時に特に役立ちます。
次に、出力フォーマットの制御も可能です。プリフィルを使えば、Claudeに使ってほしい出力フォーマットを正確に指定できます。これは、XMLなどの構造化データフォーマットを扱う際に特に便利ですよ。
さらに、ロールプレイシナリオでのキャラクターの一貫性維持にも効果的です。Claudeの応答をプリフィルすることで、長い会話全体を通してClaudeをキャラクターに合わせることができます。質問メッセージで一貫してClaudeにその役割を思い出させることで、望ましいペルソナを維持できるんです。
プリフィルの具体的な方法
それでは、実際にどうやってClaudeの応答をプリフィルするのでしょうか。
質問を行う際に、目的の初期テキストをプロンプトに含めるだけです。例えば、こんな感じのプロンプトを送ります。
以下の書籍情報をXML形式で出力してください。
<book> タイトル: 「月と六ペンス」 著者: サマセット・モーム 出版年: 1919年 ジャンル: 長編小説 あらすじ: 画家を志す青年が、芸術を追求する過程で人生の意味を見出していく物語。
</book>
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
この例では、プロンプトの最後に「」と付け加えることで、Claudeの出力をXMLフォーマットに制限しています。
プリフィルの実践例
プリフィルの実践例を見てみましょう。先ほどの書籍情報のXML出力の例では、以下のようなClaudeの応答が期待できます。
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<book>
<title>月と六ペンス</title>
<author>サマセット・モーム</author>
<year>1919</year>
<genre>長編小説</genre>
<summary>画家を志す青年が、芸術を追求する過程で人生の意味を見出していく物語。</summary>
</book>
このように、プリフィルを使ってXMLフォーマットでの出力を制御することで、構造化されたデータを簡単に取得できます。
プリフィルを活用してClaudeの性能を最大化しよう
このようにプリフィルは、Claudeの応答をより細かく制御し、望ましい出力を得るための強力なテクニックです。
プロンプトエンジニアリングにおいて、プリフィルは非常に重要な概念の1つです。適切にプリフィルを活用することで、Claudeの性能を最大限に引き出すことができるでしょう。
ぜひ、皆さんもプリフィルを試してみてください。Claudeとのコミュニケーションがより円滑になり、望んだ結果を得られるはずです。
次回は、「アウトプットのフォーマットを指定する」というテクニックについて解説します。お楽しみに!