最近、生成AI「Claude 3」の注目度が急上昇しています。今回から数回に渡って、生成AI「Claude」を使いこなすためのプロンプトエンジニアリングのコツを紹介していきます。
第1回目のテーマは「明瞭で直接的な指示の与え方」です。
明瞭で直接的な指示の重要性
Claudeのようなツールは非常に強力ですが、与えられた指示に従って動作します。つまり、プロンプトの品質がClaudeの出力の品質に直結するのです。
初めてClaudeを使う時は、頭の良い新人に仕事を教えるイメージで接してみてください。丁寧に、かつ具体的に指示を出せば出すほど、Claudeの反応は的確になっていきます。
具体的な文脈と詳細情報の提供
例えば、ある文章から個人情報を取り除くタスクをClaudeに頼むとします。漠然と「個人情報を削除して」と指示するだけでは、Claudeは期待通りの結果を返せないかもしれません。
そんな時は次のような具体的な指示を与えてみましょう。
以下の文章から個人情報（PII）を全て取り除きたいと思います。
次の手順で処理をお願いします:
1. 名前、電話番号、自宅とメールアドレスの全てのインスタンスを「XXX」に置き換える。
2. 文章にPIIが含まれていない場合は、何も置き換えずにそのままコピーする。
3. 処理後のテキストのみを出力し、追加の解説は不要。
処理対象のテキスト:
{{テキスト}}このプロンプトでは、まずタスクの性質について前提を説明し、個人情報：PIIの定義（名前、電話番号、住所）を明確にしています。そして、具体的な手順をステップバイステップで指示し、最後にClaudeが出力をどのようにフォーマットすべきかのガイドラインも示しています。
複雑なタスクは細分化して指示を与えよう
複雑なタスクの場合は、「番号付きステップ」や「箇条書き」を使って指示を細分化するのが効果的です。例えば、教科書の章を授業計画に変換するタスクを実行する場合を想定してみましょう。
与えられた教科書の章を包括的な授業計画に変換するのがあなたのタスクです。
このタスクを行うには、以下の手順に従ってください:
1. セクションごとに重要な概念を抽出し、要約する。
2. 抽出された各概念を、理解度チェック用の質問リストを含む30分の授業計画に変換する。
3. この章の学びを強化する宿題を設計する。
対象の章:
<chapter>
{{本文}}
</chapter>この形式なら、Claudeは指示に従いやすく、求められている水準を確実に満たせるでしょう。
明確な答えを求めるには具体的に尋ねる
Claudeに明確な答えや特定の立場を求める場合は、プロンプトでそれを明確に示す必要があります。例えば、「史上最高のバスケットボール選手は誰ですか？」と尋ねると、Claudeはこう答えるかもしれません。
史上最高のバスケットボール選手を決めるのは難しい問題です。マイケル・ジョーダン、レブロン・ジェームズ、カリーム・アブドゥル・ジャバーなど、それぞれの時代で素晴らしい活躍を見せた選手がたくさんいるからです。どの選手が最高かは、人によって意見が分かれるトピックだと思います。
Claudeの知識は広範ですが、時に曖昧な返答をすることがあります。そんな時は、次のように質問の意図を明確にしてみてください。
史上最高のバスケットボール選手については意見が分かれるところだと思いますが、
どうしても1人だけ選ばないといけないとしたら、誰を選びますか？これに対し、Claudeはこんな風に答えを絞り込んでくれるはずです。
史上最高のバスケットボール選手を1人だけ選ぶのは難しい問いですが、強いて言えばマイケル・ジョーダンが最もよく「GOAT（史上最高）」と呼ばれています。彼の類まれなるタレント、獲得したタイトル、受賞歴、そしてバスケットボール界全体に与えた影響力などを考慮すると、ジョーダンを選ぶ人が最も多いのではないでしょうか。とはいえ、レブロン・ジェームズやカリーム・アブドゥル・ジャバーなども常に議論に上がる名前です。客観的な答えは出せませんが、個人的にはジョーダンだと思います。
明瞭なプロンプティングのゴールデンルール
最後に、明瞭なプロンプティングのゴールデンルールをお伝えしましょう。それは、作成したプロンプトを他人に見せ、指示通りの結果を出してもらうことです。もし相手が戸惑うようなら、おそらくClaudeも同じように混乱するでしょう。
Claudeは確かに強力なツールですが、最高の結果を出すにはユーザーのガイダンスが欠かせません。明確で的確なプロンプトを心がければ、Claudeの真の実力を引き出し、望む成果を得られるはずです。
プロンプトエンジニアリングのテクニックについては、他の様々な戦略もあります。ぜひ次回以降のブログ記事もお楽しみに！
