ChatGPTやClaudeに毎回「あなたはプロのライターです。〜の記事を書いてください」と指示するのに、疲れてきた人はいないか。
同じことを何度も説明する。同じミスを何度も修正する。「前回と同じようにやって」が通じない。
これは「AIに人格を与える」アプローチの限界だ。
Claude Codeには、この問題を根本から解決する機能がある。スキル(Skills) だ。
ロール(人格)とスキル(専用マニュアル)は何が違うのか
まず、多くの人がやっている「ロール設定」から整理しよう。
ロールとは「AIの人格・キャラクター」を設定すること。
あなたは10年のキャリアを持つSEOライターです。
読者ファーストの文章を書くことを信条としており...
これはClaude Codeでいう CLAUDE.md に書く内容だ。セッションが始まると常に読み込まれ、会話全体に影響を与える「常設のコンテキスト」として機能する。
一方、スキルとは「特定のタスクをこなすための専用マニュアル」 だ。
| CLAUDE.md(ロール) | SKILL.md(スキル) | |
|---|---|---|
| 目的 | AIの人格・価値観・基本ルール | 特定タスクの手順・ツール・制約 |
| 読み込まれるタイミング | セッション開始時に常に | 呼び出されたときだけ |
| 呼び出し方 | 自動 | /skill-name または自動トリガー |
| 例 | 「丁寧語で話す」「コードにはコメントを入れる」 | 「PR作成手順」「ブログ執筆フロー」 |
料理で例えるなら、CLAUDE.mdは「シェフの性格・料理哲学」で、スキルは「レシピカード」だ。シェフの性格は常に発揮されるが、ハンバーグのレシピはハンバーグを作るときだけ取り出す。
スキルを使うと何が変わるのか
スキル機能を使う前と後で、AIとの関係性がこう変わる。
スキルなし(毎回同じ説明をする生活):
ユーザー: 「飲食店向けのブログ記事を書いて。
構成はH2を4つにして、
最後にCTAを入れて、
文体はですます調で、
2000字くらいで...」
AI: 「かしこまりました。ではまず...」
(翌日)
ユーザー: 「また別の記事を書いて。
構成はH2を4つにして... [以下繰り返し]」
スキルあり(一度作ったら永遠に使い回せる生活):
ユーザー: /write-article 飲食店向けChatGPT活用術
AI: [SKILL.mdの手順通りに自律的に動き始める]
「記事タイトルを確認しました。
構成案を作成します...
キーワードを調査します...
2000字の記事が完成しました。」
スキルを一度作れば、その後は1行の指示でAIが全自動で動く。しかも、チームメンバーや別のプロジェクトで使い回せる。
スキルファイルの構造:SKILL.mdとは何か
スキルの実体は、SKILL.md という1枚のMarkdownファイルだ。
~/.claude/skills/スキル名/SKILL.md というパスに置けば全プロジェクトで使えるし、プロジェクト内の .claude/skills/ に置けばGitでチームに共有できる。
ファイルの構造はシンプルだ。
---
name: スキル名(省略可)
description: このスキルがいつ役立つか。Claudeはこれを読んで自動発動するか判断する
---
ここにMarkdownで手順・ルール・テンプレートを書く
フロントマター(---で囲まれた部分)に設定を書き、その下に指示内容を書くだけ。
実際に作ってみる:ブログ記事執筆スキル
言葉で説明するより、実際のSKILL.mdを見た方が早い。
「飲食店向けブログ記事を自動で書く」スキルを例に作ってみよう。
~/.claude/skills/write-restaurant-article/SKILL.md を作成して、以下を書く:
---
name: write-restaurant-article
description: 飲食店向けのSEOブログ記事を書く。ターゲットキーワードとテーマを受け取り、構成・執筆・CTAまで一貫して対応する。
---
# 飲食店向けブログ記事 執筆マニュアル
## 受け取る引数
- $ARGUMENTS[0]: 記事テーマまたはキーワード
## 作業手順
### 1. 構成を決める(必ず先に確認する)
- H1: キーワードを含むタイトル(35字以内)
- H2: 4〜5つ(読者の「知りたいこと」の順番に並べる)
- 最後のH2: 必ず「まとめ」にする
### 2. 文体・ルール
- 文体: 語りかける口語体(「〜だ」「〜だろう」)
- 文字数: 2,000〜2,500字
- 冒頭3行で「誰のための記事か」を明確にする
- 専門用語には必ず括弧で補足説明を入れる
### 3. CTA(最後に必ず入れる)
「この記事で紹介したプロンプトの完全版はnoteで販売中です」
→ リンクは[NOTE_URL]としてプレースホルダーで置く
### 4. フロントマターを付ける
記事の先頭にtitle・slug・excerptを付けること
呼び出すときはチャット画面で / を打って候補から選ぶか、直接入力する:
/write-restaurant-article 飲食店のインスタ運用をChatGPTで自動化する方法
これだけで、Claude Codeがマニュアル通りに記事を書いてくれる。
スキルの3つの呼び出し方
スキルには3つの起動方法がある。
方法1:スラッシュコマンド(最もシンプル)
チャット画面で / を打つと登録済みスキルの候補が一覧で出てくる。スキル名を全部覚えなくていい。
/write-restaurant-article 求人募集の書き方
/pr-review
方法2:自然な発話による自動トリガー
スキルの description にキーワードが書かれていれば、自然な文章で話しかけるだけでClaudeが自動的にスキルを起動する。
description: 飲食店向けのSEOブログ記事を書く。
「記事を書いて」「ブログを作って」という発話で自動起動する。
と書いておけば、「飲食店向けの記事を書いてほしいんだけど」と普通に話しかけるだけでこのスキルが動き出す。
方法3:自動トリガーを無効化して手動専用にする
「絶対に手動でしか動かしたくない」スキルには disable-model-invocation: true を設定する。
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name: deploy-production
description: 本番環境にデプロイする
disable-model-invocation: true
---
課金が発生する操作や取り消しのきかない処理には、この設定を入れておくと安全だ。
サブエージェントとして動かす:context: fork の力
スキルの真の強みは、独立したサブエージェントとして動かせること にある。
context: fork を設定すると、スキルはメインの会話から切り離された独立した処理として動作する。
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name: deep-research
description: テーマについて徹底的にリサーチし、調査レポートを作成する
context: fork
agent: Explore
---
$ARGUMENTS についてリサーチしてください:
1. 関連ファイルをGlobとGrepで探す
2. 重要なファイルを読み込んで分析する
3. 具体的なファイル名・行番号を含むレポートを作成する
これの何がすごいか。
- メインの会話が重くなるような大規模な調査を別プロセスで処理できる
agent: Explore(探索特化)やagent: Plan(設計特化)など、タスクに最適なエージェントを指定できる- 複数のサブエージェントを並列で走らせることもできる
スキル1つの呼び出しが、複数のAIエージェントを指揮する「マネージャー」として機能するのだ。
CLAUDE.mdとSKILL.mdの理想的な使い分け
ここまで理解したら、設計思想を整理しよう。
CLAUDE.mdに書くべきこと(常設ルール):
- コーディングスタイル・命名規則
- 使用言語・フレームワークの前提知識
- 会話のトーン・禁止事項
- プロジェクトの概要・ゴール
SKILL.mdに書くべきこと(手順・ワークフロー):
- 記事執筆の手順
- デプロイフロー
- コードレビューの観点
- 定型ドキュメントの生成方法
「AIに覚えさせたいこと」はCLAUDE.mdへ。「AIに繰り返しやらせたい作業」はSKILL.mdへ。
この使い分けが定着すると、あなたのClaude Codeは日々進化する「自律的なチームメンバー」になっていく。
今すぐ作れる:最初のスキル3選
難しく考えなくていい。今すぐ作れる実用的なスキルを3つ紹介する。
スキル①:毎日の日報を自動生成
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name: daily-report
description: 今日の作業内容から日報を自動生成する
---
今日の作業内容: $ARGUMENTS
以下の形式で日報を作成してください:
【今日の成果】
(箇条書き3〜5点)
【明日の予定】
(箇条書き3点)
【共有事項・課題】
(あれば)
文体:社内Slack向けのカジュアルな敬語
使い方: /daily-report ブログ記事3本執筆・WP投稿・画像生成プロンプト作成
スキル②:SNS投稿を記事から自動生成
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name: make-sns-posts
description: ブログ記事の内容からX(Twitter)とインスタの投稿文を作成する
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## ターゲット記事
$ARGUMENTS のファイルを読み込んでください。
## 生成する投稿
### X(Twitter)用(3パターン)
- 140文字以内
- それぞれ切り口を変える(問いかけ型・数字型・共感型)
### インスタキャプション用(1本)
- 200字以内
- ハッシュタグ10個
記事の内容を忠実に反映し、誇張表現は使わない。
スキル③:コードレビューを自動化
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name: code-review
description: 変更したファイルのコードレビューを行う。「レビューして」「確認して」で自動起動
context: fork
agent: Explore
---
最近変更したファイルを確認し、以下の観点でレビューしてください:
1. **バグリスク**: 論理エラー・エッジケースの見落とし
2. **セキュリティ**: インジェクション・認証漏れ・機密情報の露出
3. **可読性**: 変数名・コメント・関数の長さ
4. **パフォーマンス**: 不要なループ・N+1クエリ・メモリリーク
各指摘は「ファイル名:行番号」の形式で具体的に示すこと。
まとめ:スキルがAIとの仕事を変える
Claude Codeのスキル機能をひと言でまとめると、こうなる。
AIに「毎回説明する」時代から「一度マニュアルを渡したら自律的に動く」時代へ。
CLAUDE.md(ロール): AIの人格・価値観・常設ルールSKILL.md(スキル): 特定タスクの手順書・ワークフローcontext: fork: サブエージェントとして独立実行
ChatGPTで「毎回プロンプトをコピペしている」段階から、Claude Codeのスキルを使いこなせば「AIが自分で考えて動く組織」を手元に持てる。
最初のスキルは5分で作れる。まず1本、自分の繰り返し作業をスキル化してみてほしい。
Claude Codeのスキル機能はオープンスタンダード「Agent Skills(agentskills.io)」に準拠しており、Cursor・GitHub Copilot・Gemini CLIなど30以上のAIツールでも同じSKILL.mdを使い回せます。

