ChatGPTプロンプト26の鉄則

ムハンマド・ビン・ザーイドAI大学の研究者が発表した「LLM(大規模言語モデル)への質問に必要なのは原則的な指示だけ」という論文の中で、生成AIのプロンプト26ヶ条が紹介されています。

目次

LLM(大規模言語モデル)への質問に必要なのは原則的な指示だけ

鉄則1:礼儀正しさは不要

AIに対して礼儀正しい表現や「お願いします」、「ご理解いただければ幸いです」、そして「ありがとうございます」などのフレーズを使用する必要はないということです。代わりに、すぐに要点に入ることが求められます。

利用シーン:テキストの翻訳を依頼する
  • 良い例: “翻訳してください。”
  • 悪い例: “お願いしますが、この文章を翻訳していただけないでしょうか?”

鉄則2:対象者を明示する

プロンプト内で意図する対象者(受け手)を明示的に組み込むことです。たとえば、その対象者が特定の分野の専門家である場合、それをプロンプトに反映させます。

利用シーン:特定の専門家や知識層に向けて、文書の要約を依頼する
  • 良い例: “この論文は医療分野の専門家向けに要約してください。”
  • 悪い例: “この論文を要約してください。”

鉄則3:複雑なタスクは分割

複雑なタスクは単純なプロンプトの連続に分割します。この方法により、各ステップがより管理しやすく、理解しやすいものになります。

この分割によって、全体のタスクを効率的に進めることができ、各段階を容易に追跡できるようになります。一つ一つの小さなステップをクリアしていくことで、最終的な目標に近づいていくことができます。

利用シーン:営業戦略の立案
  • 市場分析のためのプロンプト: “対象市場の現在の動向と顧客のニーズを分析してください。”
  • 競合分析のためのプロンプト: “主要な競合他社とその戦略を特定し、その強みと弱みを評価してください。”
  • 目標設定のためのプロンプト: “短期および長期の営業目標を設定し、それを達成するためのキーポイントを挙げてください。”
  • 戦略策定のためのプロンプト: “分析結果と目標に基づいて、具体的な営業戦略とアクションプランを提案してください。”

鉄則4:肯定的な言葉を使う

プロンプトにおいては「する(do)」のような肯定的な言葉を使い、否定的な言葉や表現、「しない(don’t)」といった言葉は避けるべきです。

肯定的な表現はポジティブな行動を促し、明確な指示を提供します。一方、否定的な言葉はしばしば混乱を招き、AIが何をすべきかではなく、何をしないべきかに焦点を当てがちです。

プロンプトは肯定的で直接的であることが重要で、AIが目標に向かって積極的に行動を取ることを促します。

利用シーン:営業戦略の立案
  • 肯定的: “顧客のニーズに応じた新しい製品機能を提案してください。”
  • 否定的: “顧客が望まない製品機能を避けてください。”
  • 肯定的: “競合他社との差別化ポイントを明確にしてください。”
  • 否定的: “競合他社と同じ戦略を採用しないでください。”
  • 肯定的: “営業チームに達成すべき具体的な目標を設定してください。”
  • 否定的: “営業チームが目標を達成できない状況を避けてください。”

鉄則5:分かりやすく説明する

情報やトピックの明確さや深い理解が必要な場合、次のプロンプトを使用します。

[具体的なトピック] をわかりやすく説明してください。
11歳の子供に説明するように教えてください。
[分野] の初心者向けに説明してください。
[エッセイ/テキスト/段落] を、5歳の子供に説明するかのようにシンプルな日本語で書いてください。

具体例:
  • “量子力学をわかりやすく説明してください。”
  • “11歳の子供に宇宙について説明してください。”
  • “プログラミングの初心者向けに、ループの概念を説明してください。”
  • “動物の生態系についてのエッセイを、5歳の子供に説明するかのように書いてください。”

鉄則6:報酬をちらつかせる

プロンプトに回答に対して報酬が出ることを含めます。

具体例:
  • “より良い解決策に対して、$500のチップを支払うつもりです!”

鉄則7:具体例を使う

プロンプトに具体的な例を用いて情報やアクションを促すことです。これにより、AIが何を期待されているのかを明確に理解しやすくなり、より効果的な回答を得ることが可能になります。

利用シーン::新入社員に対してのトレーニングマニュアルを作成する
  • “新入社員向けトレーニングマニュアルを作成してください。具体的な例として、顧客対応時によくある問い合わせ事例とその適切な対応方法を挙げてください。”

鉄則8:フォーマット化する

プロンプトの構造を明確にし、フォーマット化します。

プロンプトを効果的に構築するために、指示や具体例を適切に明示することが重要です。これにより、AIが何をすべきか、どのような情報を提供すべきかが明確になり、円滑な回答につながります。

利用シーン:レポートの作成を依頼する
  • ##Instruction##: 新しい製品に関するレポートを作成してください。
  • ##Example##: 過去の製品レポートの形式や内容を参考にしてください。
  • ##Question##: この製品の市場への影響について、どのようなデータが必要かを考えてみてください。
  • ##Context##: 製品の売上データや市場動向の情報を以下に提供します。
  • [データの詳細が続く]

鉄則9:タスクを明確にする

プロンプト内でタスクを明確にすることが重要です。

具体的には、「Your task is(あなたの課題は〜)」や「You must(あなたは〜しなければならない)」といったフレーズを使用して、タスクを明示的に示し、その重要性を強調します。

利用シーン:プレゼンテーションの企画
  • “あなたの課題は、新製品のプレゼンテーションを準備し、会社の役員に提案することです。このプレゼンテーションは非常に重要であり、成功が必要です。あなたは必ず、新製品の特徴、市場の需要、競合他社との比較を包括的に説明し、会社の方針に合致する提案を行わなくてはいけません。”

鉄則10:ペナルティの明示

回答に対する明確なペナルティの存在を示します。これにより、AIに対して行動の重要性や責任を明示的に伝えることができます。

利用シーン:学術論文の執筆
  • “あなたの課題は、新しい研究論文を執筆することです。この論文は、学年の成績に大きく影響します。適切な研究を行わないか、提出締切を守らない場合、成績に悪影響を及ぼす可能性があります。”

鉄則11:自然な回答を要求

AIに自然で人間らしい方法で回答することを促します。これにより、人間らしい自然で効果的な回答を得ることができます。

利用シーン:レストランのリサーチ
  • “新しいレストランを見つける手助けをしてください。あなたの友達が週末に行く価値のあるレストランを知りたいと言っています。どのようにアドバイスしますか?自然で人間らしい方法で、友達におすすめを伝えてください。”

鉄則12:ステップバイステップの思考を促す

プロンプト内で「ステップバイステップに考える」といった指示語を使用して、AIに段階的な思考を促します。

これにより、AIは課題や問題を論理的に解決するためのアプローチを明確にするのに役立ちます。

利用シーン:プロジェクトの計画
  • “プロジェクト計画を作成してください。まず、ステップバイステップで考えてみてください。最初にプロジェクトの目標と範囲を明確にし、次に必要なリソースと予算を検討し、最後にスケジュールを策定してください。各ステップで詳細な計画を立てることとします。”

鉄則13:偏見を排除する

プロンプトに「回答が偏見を持たず、ステレオタイプに頼らないことを確認してください」といったフレーズを追加します。

これにより、AIに対して公平で偏りのないアプローチを促し、ステレオタイプに基づかない回答を要求できます。

利用シーン:ブログ記事を執筆
  • “最新の社会問題についてブログ記事を書いてください。回答をまとめる際、回答が偏見を持たず、ステレオタイプに頼らないことを確認してください。感情的な偏りや汎用的なステレオタイプを避け、データと事実に基づいた議論を行ってください。”

鉄則14:質問を促す

プロンプト内でAIに対して質問を促し、必要な出力を提供するために十分な情報を収集することを求めることができます。AIから詳細な情報や要件を引き出すためのアプローチとして有効です。

利用シーン:旅行計画を立てる
  • “今から、必要な情報を収集するために私から質問を受けてください。旅行計画を立てるために、どの都市に行きたいですか?また、出発日や到着日、予算について教えていただけますか?”

鉄則15:テストを出題

特定のトピックについて学び、理解をテストするために、プロンプト内で「[任意の定理/トピック/規則の名前]を教えてください。最後にテストを含めて、回答を教えず、私が答えたら正しいかどうか教えてください)」といったフレーズを使用することが有効です。

利用シーン:数学を教わる
  • “ピタゴラスの定理を教えてください。最後にテストを含めて、回答を教えず、私が答えたら正しいかどうか教えてください。”

鉄則16:役割を与える

AIに具体的な任務や機能を与えることで、その能力を最大限に活かすという考え方です。例えば、AIに「文章校正者」という役割を割り当てれば、文法や表現の正確さに焦点を当てたフィードバックが得られます。

また、「データ分析アシスタント」として利用すれば、数値データの解析や解釈に特化したサポートが期待できます。

利用シーン:ビジネスレポートの作成
  • AIに「文章校正者」としての役割を割り当てます。ユーザーがレポートの草稿を提供すると、AIは文法の誤りを指摘し、より明確で説得力のある表現への提案を行います。これにより、レポートの品質向上が期待できます。

鉄則17:区切り文字の使用

区切り文字を使用することでプロンプトを明確にし、AIが意図を理解しやすくなります。区切り文字を使うことで、情報が整理され、混乱を防ぎます。

利用シーン:利用シーン: 料理のレシピを調べる

“スパゲッティの作り方を教えてください。材料は以下通りです。
– スパゲッティ(200g)
– トマトソース(400ml)
– ニンニク(2片)
…”

鉄則18:重要な単語を繰り返す

特定の単語やフレーズを繰り返すことによって、その重要性や関連性を強調します。それにより、プロンプトをより効果的に構築することが可能となります。

AIに重要なメッセージを伝えるために単語やフレーズの繰り返しを活用しましょう。

利用シーン:環境保護に関連した情報を収集する
  • “環境保護は重要です。私たちの未来は環境保護にかかっています。環境保護に積極的に参加するにはどうすればいいでしょうか。”

このプロンプトでは、”環境保護”というフレーズが繰り返され、その重要性が強調されています。AIは環境保護の重要性を理解しやすく、行動を促される可能性が高まります。

鉄則19:連鎖的な思考

連鎖のように関連するアイディアをつなげる方法(CoT: Chain-of-Thought)で、わずかなプロンプトを使ってより豊かな回答を生成するための手法です。

これにより、利用者に対してより深い洞察や情報を提供することができます。

利用シーン:旅行計画を立てる
  • 1: “次回の休暇先を決めるのにどこに行くか考えています。”
  • 2: “私たちの家族は自然が豊かで美しい場所が好きです。山岳地帯や湖畔で楽しむことができる場所はありますか?”
  • 3: “また、宿泊施設は快適でファミリーフレンドリーなものが好ましいです。おすすめのホテルやキャビンがあれば教えてください。”

このように、CoTを活用して、プロンプトの連鎖を作成することで、利用者の旅行計画に関する詳細な情報を収集し、より適切な提案を提供することができます。

連鎖の一部として関連するプロンプトを組み合わせることで、より効果的なコミュニケーションが可能になります。

鉄則20:回答の始まりを提示

プロンプトの終わりに期待される回答の冒頭部分を含める方法です。予想される回答の開始部分でプロンプトを終えるようにします。

この方法を用いることで、より効果的で目的に沿った応答を得ることができます。

利用シーン:数学の問題を解く
  • “この方程式を解いてください:x + 5 = 12。解答はx =”

以上のようにプロンプトを終えることで、AIは「7」という具体的な応答を出力しやすくなります。この方法は、AIに対してどのような回答フォーマットを期待しているのかを明確に示し、より効率的なやりとりを実現します。

鉄則21:詳細な情報の追加

プロンプトに必要と思われるすべての情報を含めることで、そのトピックについて詳細な回答を得ることができます。AIが具体的なシーンを想像できるように、情報の豊かさと精度を高めることが重要です。

“[トピック]について詳細にすべての情報を加えて、詳細な[エッセイ/文章/段落]を書いてください。”

利用シーン:エッセイを書く
  • “気候変動の影響についてのエッセイを詳細に書いてください。具体的な統計データ、影響される地域、政策の提案など、関連するすべての情報を含めてください。”

鉄則22:スタイルの変更禁止

文章を校正する場合に、段落の文法や語彙を改善することは望ましいですが、その際に文のスタイルを変更することは望ましくありません。

フォーマルな文章をカジュアルなものに変えることは避けるべきです。重要なのは、自然に見えるようにすることであり、原文の意図や雰囲気を維持しつつ、文法的な精度や表現力を高めることです。

利用シーン:ビジネスレポートの校正
  • “このレポートの各段落を見直してください。ただし、公式なスタイルはそのままに、文法や語彙のみを改善して、自然に見えるようにしてください。”

鉄則23:複数ファイルへの対応

複雑なコーディングのプロンプトを扱う際、特に複数のファイルにまたがるケースでは、以下のようなプロンプトになります。

“これからは、一つ以上のファイルにまたがるコードを生成する際には、指定されたファイルを自動的に作成するか、既存のファイルに生成されたコードを挿入するための[プログラミング言語]スクリプトを生成してください。[あなたの質問]”

利用シーン:ウェブアプリケーションの開発
  • “Pythonスクリプトを生成して、特定の機能を持つフロントエンドとバックエンドのファイルを自動的に作成してください。この機能はユーザーの入力を受け取り、それに応じた応答を生成するものです。”

鉄則24:特定の言葉で続ける

文章を始めたり続けたりする際に特定の単語、フレーズ、または文章を提供し、AIにそれを続けるように促すことができます。

“私はあなたに以下の文章の始まりを提供します:[歌詞/物語/段落/エッセイ…]:[挿入する単語/フレーズ/文章]。提供された単語に基づいて完成させてください。流れを一貫させてください。”

利用シーン:文章の作成
  • “私はあなたに以下の文章の始まりを提供します:『窓の外に雪が降っていた。』。提供された文を続け、この冷たい冬の日の出来事を詳しく説明してください。”

鉄則25:要件の明確化

プロンプトにおいては、AIがコンテンツを生成するために従わなければならない要件を、キーワード、規制、ヒント、または指示の形で明確に述べることが重要です。

この原則は、AIが指定されたフレームワーク内で効果的に作業を行い、要求された内容を正確に反映させるために必要です。また、このアプローチは、ユーザーの期待に応え、誤解を防ぐのに役立ちます。

利用シーン:エッセイの執筆
  • “2020年代のデジタル技術が教育に与えた影響について詳細に論じるエッセイを書いてください。このエッセイでは、遠隔教育の普及、学生の学習方法の変化、教師の役割の進化に焦点を当ててください。また、コロナウイルスのパンデミックがこれらのトレンドにどのように影響を与えたかについても触れてください。”

このプロンプトでは、特定の時代(2020年代)、技術の影響(デジタル技術が教育に与えた影響)、焦点となるトピック(遠隔教育の普及、学生と教師の役割の変化)、および関連する外部イベント(コロナウイルスのパンデミック)が明確に指定されています。

これにより、AIはこれらの要素を統合して、期待される内容のエッセイを作成することができます。

鉄則26:事例に従う

文章、エッセイ、段落など、提供されたサンプルに類似した内容を書く際は、以下の指示を含めます。

“提供された段落[/タイトル/テキスト/エッセイ/回答]に基づいて、同じ言語を使用してください。”

利用シーン:エッセイの執筆
  • “この段落のスタイルでビジネスに関するエッセイを書いてください”というプロンプトの場合、AIは提供された段落の言語、文体、および専門用語を分析し、これを新たに作成されるビジネスエッセイに適用します。例えば、提供された段落がフォーマルなビジネススタイルで書かれている場合、AIは同様のフォーマルな文体と用語を使用して、ビジネスのトピックについて論じるエッセイを作成します。
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